近年スイスの建築が面白いので、去年の夏はバーゼルを起点にいくつかの都市を見てまわりました。プラダ青山店でおなじみの建築家ヘルツォーク&ドムーロンはスイス人で、旬の人である彼らが本国で手がけた建物をはじめ、名だたる建築家たちが(まるでスイスに集結するかのように)建物を建てていて見応えがあります。
さて、そんな旅行中に訪れたミュージアムのひとつ、レンゾ・ピアノ設計の「Fondation Beyeler(バイエラー財団美術館)」は当時アレクサンダー・カルダーの展覧会を開催中でした。会場にはカルダーの彫刻やモビールなどが展示されていたのですが、一角に小さな視聴覚室もあり、そこに人だかりができていました。のぞいてみると、カルダーが座長をつとめた「カルダー・サーカス」の当時の映像が上映されていました。
ぽっちゃりした体に赤い服を着て、汗をかきかき一生懸命に次々と出しものを披露するおじいちゃんのカルダー。自作の小さな舞台セットと手作りの人形たちを駆使して独特のオーラを創りあげています。どの人形も、木や針金やざくざく切った布などで大雑把に作られてますが、それがたまらなくいい味です。BGMを担当するのはカルダーの奥さん。息ぴったりに、舞台の横でレコードを手早く取り替えます。カルダーのパリのアトリエで1926年にスタートしたこのサーカス、一時期はイサム・ノグチもお手伝いしていたという微笑ましいエピソードもあるとか。カルダーは5つの大きなトランクに舞台セットや人形をつめこみ、お呼びがかかった家の床に道具を広げ、子どもたちやアーティストの目を楽しませたといいます。
というわけで、それ以来カルダー・サーカスの魅力にとりつかれた私がご紹介したいのがこれら2点です。カルダー・サーカスを大フィーチャーしたDVD「LA MAGIE CALDER」(Les Films du Paradoxe 社)と書籍「ROARR :CALDER'S CIRCUS」(Whitney Museum Of American Art 刊/ISBN 0874270790)です。DVDはカルダー・サーカス最後の公演を収録したもの。映像だけでもこんなに楽しめるなんて、実物はどんなに魅力的だったんでしょう。書籍はNYのホイットニー・アメリカン・アート美術館が1991年に出版したもの。絶版本ですが日本の洋書セレクトショップでも時々見かけます。
2005年9月2日
*ISEKI AYAKO (tinycrown)
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