伊藤さんと出会ったのは、まだ私が日本に住んでいたころのことです。伊藤さんの著書『こはるのふく』を購入した翌日、伊藤さんが偶然にも私の職場に遊びにこられてびっくり。それ以来、ロンドンで、あるいは東京で、お会いしてはかわいいもの情報の交換を楽しんでいます。今回のコラムでは、ちょっとした物選びのコツを紹介していただきました。
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※↑伊藤さんのお家にて。「テーブルの上にはいつもお気に入りを置いています。だいたい旅先で買った物でこれらは今年の夏に北欧で購入したもの。」近頃はスパイスになる赤色が好みだそう。写真のように、白やグレーに赤が加わると全体がしゃきっとします。
※↓フィンランドのアンティーク店で購入したガラスの器セット。器の柄をイラストにしてプリントしてある黄色い箱(外見)も購入の決め手になった大きなポイント。「柄があまりにかわいいので今度まねして刺繍にしてみようかと思っています。」

24才の頃からずっと料理を中心とした暮らしまわりのスタイリングをしてきました。料理と言っても当時好きだったのはお菓子のスタイリング。夢があるしかわいいからというのが理由です。けれど、思えば当時の私は写真映りという視点でしか器や布を見ていませんでした。そしてある日ふと「もしかしてそれは変なのでは?」と疑問を持つようになりました。20代後半の頃のことです。それからは撮影で使うものはまず自分で買ってから家で使ってみることにしました。「この布は洗っても色落ちがしないか?」「この器はお茶を飲む時に口当たりがいいか?」「器としての色は素敵だけれど、料理を盛った時においしそうに見えるのか?」等といったことです。「飽きないかな?」というのも重要。今ではそうした私のテストに合格した物たちが誌面に出てくるという訳です。
とは言っても、ただかわいいという理由だけで物を選ぶときもあります。この前、中華街に行った時につい買ってしまった2センチくらいのモールで出来たひよこ。これは飾りにしか使えない。でもかわいい。いつも上で書いたようなテスト(というか自問自答)を心の中でつぶやいている私ですが、ストイックに選ぶ時とそうでない時と、そこらへんのさじ加減も重要だと思っています。つまり、あんまりストイックすぎても疲れてしまうということ。どこかで「ぬけ」感を出すとでも言えばいいのかな?自分の「好き嫌い」「使いやすさ」以外に、「なんだか変だけど、使えないけど妙に気になる!」という物がぽつんとあるとバランスがとれて落ち着くなあと思うのです。文章に例えると「行間を読む」というかんじですね。

↑※いろいろな国で買い集めたリネン。使い勝手の良いリネンは、ここ数年、伊藤さんにとって生活になくてはならない存在。
( text:2005年10月8日 )
*伊藤まさこ(いとう まさこ)
1970年生まれ、横浜出身。文化服装学院を卒業後、料理と雑貨のスタイリストに。最近手がけたスタイリングは無印良品やビームスのタイアップなど。著書多数。刊行から2年たった今でも根強い人気の代表作「こはるのふく」(文化出版局)は、伊藤さん家族とカメラマン夫婦だけでハワイに行き、娘の胡春ちゃんをモデルにスタイリングして撮影したという子供服の作品集で、写真集としても完成度の高い1冊。06年3月にはパリのガイドブックとお弁当の本を出版する予定。パリ撮影から帰ってきたばかりの伊藤さんが只今はまっているのはパリのダ・ローザのレーズンチョコ。「ただのレーズンチョコではない事が食べると分るはず。いつも一袋を胡春と帰りの飛行機でぱくぱく食べちゃう。」
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