↑会場では活版印刷の実演もありました。
↑まず、インクをローラーでのばして...
↑文字を組んだ金属製のプレートにのせます。
↑それを機械にセットして...
↑手すき紙をはさんで...
↑しっかり閉じます。「うまくできたかな。」
↑こんな仕上がりです。(写真では凹凸が写らず残念。)
それにしても何にびっくりしたかというと、会場にいる人たちの年齢層です。恐らく平均70歳前後。活版印刷や製本の仕事を継ぐ若者が減ったため、どんどん廃れていくこの業界の寂しい側面を見てしまった気がしました。活版印刷も製本も、アートと言っていいくらい深みのある技術なのに、その魅力はほとんどの若者に知られることなく数十年後には消滅してしまうのでしょうか。
イギリスに限らず、今ヨーロッパの書店で見かける本はペラペラのペーパーバックや、表紙のイラストにだけ凝った素っ気ないものばかり。いかに安く作り、早く沢山売りさばくか。たいていの出版社が「消費」に重きを置いているのが見てとれます。本は昔の人にとっては高価で特別な品でしたが、手間暇かけて心をこめて作られたそれはずっと大切にしたいと人に思わせる味がありました。ヨーロッパで古本屋をめぐるとそう感じます。
人の手作業で作られた本はたたずまいが違います。しんとした強さがあるし、手に取ったら例えそれが自分の興味のない内容の本であってもついついページをめくってみたくなるのです。例え職人であっても素人であっても、きっと作り手の愛情がどこかしらに現れるからでしょう。印刷技術の発達で、大勢の人が気軽に沢山の種類の本を読めるようになったのは良かったですが、量産ばかりに気を取られて本来の本の姿は忘れ去られてしまいました。
日本にも西洋の製本を学べる大学(武蔵野美術大学etc)や趣味で触れることができるカルチャースクールがあります。製本の展覧会も時々開催されています。身近なところで情報を捜してみてください。本好きな方はとくに、きっとプライベート プレスという角度からも本を愉しんでいただけると思います。今回ご紹介した見本市の次の開催はさ来年の秋です。私も一年ちょっと待ちましたがそれだけの価値はありました。一人でも多くの方に、足を運んでいただければ嬉しいです。
2005年11月29日
*ISEKI AYAKO (tinycrown)
「Oxford Fine Press Book Fair(正式名称)」
場所:Oxford Brookes University
Headington Campus, Gipsy Lane, Oxford OX3 0BP, England
時期:毎回11月 詳細は直前にこちらで確認してください。
< Back