オープン時から、tinycrownのウェブデザイン、DMデザイン等を担当してくださっている菊地さん。今回は改めてベーシックないくつかの質問をしてみました。
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tinycrown(以下T):大学時代は彫刻を専攻されていましたが、グラフィックデザインへは自然と移行されたのですか。それとも何かがきっかけだったのですか。
菊地敦己(以下K):デザインの学科も受験していたのですが、当選しませんでした。もともとはデザイナーになるつもりはなかったのですが、食べるために始めたというのが大きな理由です。20歳くらいのときに、小さな事務所をはじめたのがきっかけです。
T:では、学生としてはもの凄く多忙な日々だったのでは。
K:デザインの仕事と自分の作品制作を平行してやっていたので、かなり忙しかったです。だいたい、朝の10時から夜の8時くらいまでアトリエで作品をつくって、それから明け方まで仕事をするというペースで過ごしてました。

※矢野顕子アルバム『ホントのきもち』、シングル『PRESTO』CDジャケット


※ファッションブランド「Sally Scott」の ポスター
T:たとえば矢野顕子さんのCDジャケットやファッションブランドSally Scottのポスターといったイラスト作品を挙げても、限られた平面の中での間のとりかた、というか、背景と物の配置位置が個性的ですね。空間構成で気をつけていらっしゃるポイントはありますか。
K:イラストを描くというよりも、空間を構成するために絵柄を置いていくという感じです。どんなモチーフの絵を描くかというよりも、どのくらいの間を創るかをはじめに考えます。
T:ご自身で分析すると、配色についてはどんな好み(特徴)があると思われますか。
K:色感はもともと非常に悪くて、好きな配色をしていくと同彩度の鈍い配色になってしまうことが多くて、一時期かなり意識的にトレーニングしました。絵の具の混色をせずに、市販の色の組み合わせだけで絵を描くというのを2年ほどやっていた時期があります。いまでも、かなり論理的に組み立てます。

※菊地さんのオフィスでの作業風景
T:青森県立美術館のVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)や香川県丸亀の猪熊源一郎現代美術館といった美術館関連のお仕事もされていますね。具体的にはどのような内容ですか。
K:青森県立美術館の場合は、ロゴ、サイン、パンフレットや名刺、ステーショナリーなどのペーパーアイテムをデザインしています。美術館イメージの基礎となるビジュアルを総合的に担当しました。ただ具体的なアイテムをデザインするだけでなく、それをどのように運用し、エンドユーザーに伝えていくかを監督する仕事です。猪熊源一郎現代美術館は、美術館併設のカフェの経営を今年から始めました。内装の改修、メニュー設計、広報、イベントプロディースなどいろいろやってます。これはグラフィクデザインの領域というよりも、昨年から開始したブルーマークのキッチンプロジェクトの一環です。

※飲食店「インコ」の店内風景
T:ご自分のオフィスの1Fに建築家の青木淳さん設計で飲食店「インコ」をオープンされましたが、菊地さんの食に対するこだわり、食空間に対するこだわりを教えてください。
K:食は、見た目や演出も大事な要素ではありますが、やはり、「食べ物は食べるもの」ということを忘れないことが大事だと思っています。お店はのその店の「おいしさ」というものを表現できるかが勝負どころです。空間的には、インコの場合は閉鎖しないことが大きな特色です。狭いブースしきりになっていたり、個人的な空間をいかに仕切るかというふうに設計された店は、なんだか漫画喫茶やカラオケボックスのようですきではありません。
T:衣食住でいうと、アパレルとのお仕事、飲食店のデザインといった「衣」「食」はこれまでいくつも手掛けてこられましたが、「住」空間のディレクションに興味はお持ちですか。
K:現在、若い建築家と組んで住宅のプロジェクトを開始しています。建築には非常に興味をもっています。自分のデザインを建築という媒体におとしこめるのは、まだ先になると思いますが。いまは、研究中です。
T:最後にtinycrownのグラフィックデザイン、ウェブデザインで、仕上がりに至るまで菊地さんが考えてくださったイメージ、配慮してくださったポイントを教えてください。
K:わかりやすい、つかいやすい。「tinycrown」のようなショップの場合は、イメージは商品が構成していくものだと思うので、ビジュアルの要素はあまり前に出過ぎぬようにすることが大事だと思っています。
( interviewed:2006年10月8日 )
*菊地敦己(きくち あつき)
1974年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻科中退。1995年、在学中にネオ・スタンダードグラフィックスを立ち上げ、グラフィックデザインの仕事を始める。2000年ブルーマークを設立。アートディレクターとしてファッションブランドのブランディング・イメージ、雑誌等のエディトリアルデザイン、飲食店のプロデュースほか、多角的なデザイン活動を展開。2006年に、JAGDA新人賞とADC賞を受賞。編・共著に『家紋帳』『particle of minä perhonen 粒子』など。企画・編集・デザインを手がけた小金沢健人の画集『空の穴』が2006年11月5日に発売予定。
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